アニメ見た備忘録_220103

 年末年始休み最終日。なんばパークスシネマで劇場版「BanG Dream! ぽっぴん'どりーむ!」を見る。

 バンドリシリーズは流石綾奈ゆにこ氏脚本*1、とでも言うべきかアニメでありながらリアルな台詞回しにより登場人物の仲の良さ、普段からこのノリで会話が成立しているのだなという納得感のある特徴的なアニメで、流石に初めて1期3話を見た時こそ面食らったが1期終盤にはすっかりアニメスタッフもキャラの動かし方を掴んでいた良いシリーズだと思う。
 なのだが、今回の映画はその特徴的な台詞回しが詰め込まれ過ぎて矢継ぎ早に皆言葉を発するものだから全然聞き取れなくて、70分という比較的短い映画にしないで80分ぐらいに出来なかったものかと序盤から思っていた。テンポが速いだけならまだしも、やたら台詞音を立てている、とでも言うべきか割れるぐらい大きい音だったし、ゾンビモノ映画をうっかり見てしまいギャー!という音が流れた時は本当にうるさすぎてかなりストレスだった。以前川崎チネチッタの音が良いと評されるLIVE ZOUNDで映画を見たら、音が耳の全部同じ場所に当たって酔うという経験した事を思い出しながら、台詞でこれだとライブの時とかも気合入れ過ぎてうるさかったら嫌だなあ…と構えていたが、ライブは適正な音量であった。だとしたらさっきまでの通常パートの音のアンバランスさは映画館のせいじゃなくて制作時点での音響のせいなんかい、と余計に残念な気持ちも強まったが。

 また、脚本なのかそれを処理する演出なのかまでは分からないが、どうにも流れが気になる所は多かった。今回、武道館ライブを終えたポピパたちがグアムのチャリティーライブに招待されるという話なのだが、あまりにもドラマチックな流れが作れなかったのかかなり回りくどい事をしていた気がする。
 ライブ前日のスタッフも交えた壮行会みたいな所でポピパが曲を披露していたら、なんだか様子がおかしいRASのマスキングが席を立ち、波打ち際で涙しているのだが、まずそこで思い悩み涙していた理由が明かされない上、最終的にこの理由は説明されないまま映画は終わる。チャリティーライブを招待してくれたのがマスキングの親戚?で尊敬する人のようだったので、その人に対する感情が何かあったのかもしれない。またはソシャゲであった何かしらのストーリーを拾ったのかもしれないし、アニメでそう思い悩むに至る理由を描いていたのを自分が忘れているだけかもしれないが、もうちょっと何か補足があっても良かったんじゃなかろうか。
 その後マスキングが戻ろうとしたら、砂浜に居たナマコを踏んでバランスを崩したっぽい描写が挟まれる…。っぽい、としたのは後の展開を考えるとそこで足をくじいてるので何となく分かるのだが、直前で思い悩んでいた理由が分からないので足をくじいたことが問題なのか、悩んでいた所にバランス崩して目まいでも起こしたのか分からなかったせいである。トラブルが起きたという事さえ伝わればどっちでも良い問題なだけに、余計にモヤモヤしたまま見続ける事になってしまった。関係無いけどグアムと言えばクレヨンしんちゃんのテレビスペシャルでグアム旅行に行ったらビーチがナマコだらけでうわ気持ちわるっ、ってなったよね分かるよそこから着想したんだろうな、と思いながら見ていた。
 んで翌日ライブリハで案の定マスキングの調子が悪い。マスキングは情けない理由でケガしたことがキャラ的に恥ずかしくて言い出せなかったのだろうなというのは、感想を書いている今ようやく分かって来たのだが、なんで言わないんだというのが明かされるのかどうか、マスキングが悩んでいた理由と共にダブルで気にしながら見るハメになってしまった。
 結局沙綾に見つかり、理由を明かさないまま二人で抜け出して病院に行く事になったのでメンバーたちは当然大慌て。沙綾もちゃんとスマホでの連絡は取ろうとするものの海外だから繋がらなくて焦ったり、電話だと国際電話でお金掛かっちゃうと序盤に釘を刺されていたために悩むのは女子高生らしくて納得が行くからうんまあまあ、うん、そこは今更別に良い。気になるのはそこじゃない。とりあえずマスキングと沙綾が居ないからモルフォニカ(アニメでの本格登場はこの映画が初めて)が順番を入れ替えて先に出ます!と提案して見せ場みたいなものを与えられる。…けど別に事前に順番を観客は知らなかっただけに入れ替えなくても最初からモルフォニカが1番手で、出来るだけ長引かせたり盛り上げたりします!って言っても同じだし変なややこしさが無くてスッキリしていたんじゃないかなと思う。
 それでもRASの出番は来てしまい、マスキング抜きで1曲目の演奏に入る(ドラムの音は打ち込みがある)。2曲目に入る直前になんとか間に合いそうになったので、パフォーマンスで盛り上げ出来るだけ引っ張りに引っ張り、もうこれ以上引っ張るのは無理か…となった所にマスキングが登場。ドラムから入る「DRIVE US CRAZY」の演奏が始まる…。

 この曲の演奏・映像がマジでカッコ良すぎてこれまでの展開の苦しさが全部完全にどっか行った。

 結局この後もうわー分かりにくいー、とかイライラするーとか、事前に撒いた悩みの答え出てる気がしないーとか苦しむ展開が相変わらずあったが、DRIVE US CARZYの爽快さだけで見た価値はあったと思う。自分のようにネチネチ気にしない人からしたら、マイナスになる事なくDRIVE US CRAZYの加点でかなり良い映画になるんでなかろうか。

*1:シリーズ構成でも活躍してるが単話脚本回のセイクリッドセブン8話「マゴコロを込めて」やアイカツ!1期18話「チョコっとらぶ」等が特に印象深い