2307-09月期アニメの感想

 感想を書くために10月期アニメを見るのを抑えていたらめちゃくちゃ録画が積まれているぜ。前期の感想はこちら↓

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政宗くんのリベンジ
 雅宗兼次さんがめちゃくちゃツボで、事情により男装してる(男性に見える)だけの主人公ともフラグがあるキャラに自分は昔から何度脆弱性を突かれるのか…と思っていた。最後ちゃんと筋を通して政宗君と安達垣さんがくっ付いたとはいえ、随分とワーワーサッカーみたいなバタバタ具合のヒロインレースだったので、雅宗さんとごっちゃんゴールしても良いんじゃない?とあまりにも可能性の低い結末を望んでいたりもした。


 1期OPのワガママMIRROR HEARTが超名曲だったけど、2期OPのPlease, please!もかなり好き。

・もののがたり 第二章
 1期に続いて、兵馬とぼたんのラブコメをしている所の出来が良かった。傘の付喪神は兵馬にとって最大の仇であるが、あくまで道具としては二人の仲を取り持つ相合傘や結納のアイテムになり得ると見せた最終話の締めは非常に綺麗。匣(くしげ)が喋るのを2期最終話まで引っ張りに引っ張ったが、最初からずっと大塚明夫さんの声で喋りそうな見た目しているなと思っていただけに、その通りだったのは裏切られた要素が無くて残念に思う所はある。(最後の最後に一言喋らすだけで落とす必要があるんだからそれだけ強いカード切るしか無いだろというのはある)

 EDの「プライベート・ルーム」が田所さんの歌声に凄くマッチしていた。田所あずささんのここ1年程度の間にアニメタイアップ曲はこれも含めて3つあるが似た方向性ながらどれも良くて、楽曲作りはどういうスタッフィングでやってるのか全然知らないけどなんか主導してる人らが方向性を掴んだのではないだろうか、と感じる。田所さんも上述の政宗くん主題歌を歌っている大橋さんもホリプロランティス所属でその辺の人たちが上手い事やってるんだろう。

・好きな子がめがねを忘れた
 三重さん…可愛すぎる……!!!自分にとっての今期ぶっちぎりナンバーワンヒロインでした。タイトルになっているメガネを忘れた事の出オチ1本でやらずに、メガネを忘れて全然マトモに見えないのにそんな事で体育休みたくないとか三重さんに変な図太さがあって、キャラクターがしっかり確立されているという原作自体の良さがまずちゃんとあった。その上で、最初はただ小村君が優しくしてくれる事で会話が多かっただけな所から、三重さん自身の気持ちの自覚、お互いの進展と1クールの中で段階を踏んで変化していたのも良い。過去にいじめてきた子と違って幼い小村くんが優しくしてくれた過去があったから、優しくしてくれる現在の小村君への好感度が無意識に上がっていたと最後に明かされたのも全く隙が無かった。素晴らしい。

 話だけで無く、絵・作画芝居的な面でも三重さんの一挙手一投足が全て可愛い。メガネが無くてよく見えないから眉をひそめている目そのものも可愛いが、その際に口が開いてる時がある所が一番好きかもしれない。

 

 三重さんの事が好きで妄想が走ってしまう小村君も、そもそも自分は特にキモいとは思ってないのだが(好感度的にマイナスじゃないとかですらなくキャラクターの性質として思春期の範疇にあるのでキモいと思ってない)、三重さんが校外学習中に迷惑をかけて泣いてしまった時に、小村君は「明日も眼鏡を忘れて欲しい」とキモさを源とする言動で説得したのが一貫性があってめちゃくちゃ良かったなあと思う。
 制作会社が特殊なルックをお出しするGoHandsということで、最序盤の頃は特有の広角レンズカットの多用もあって素直に受け止められない感想も見受けられたが、かなり早い内から好評に転じていてように思う。元々自分は「K」2期以降非常に大きな信頼を寄せている会社なので、好評で嬉しかった。想像の範疇だが、前述の小村くんと三重さんの幼少期の事を知らない序盤でもご都合と思わなかったのは、ルックや広角カットの特殊さが話の都合の良い歪な所を吸収して、演出的には外さず真っ直ぐに作れるスタッフの実力があったからこそなのではないか、などと考えていた。本当かどうか疑わしいぐらいほとんど全てのセクションをGoHands内製で作り上げているのも凄かったし、早くも次なるGoHandsアニメが作られるのが楽しみだなあと心待ちにしている。

蒼穹のファフナー THE BEYOND
 これまでのシリーズでも数多くの辛すぎるキャラの死亡シーンを描いてきた作品だが、話数の最後にオペレーションクルー達、更には千鶴さんまでが疾風迅雷とでも言うしかない速さで死亡する6話ラストの流れは、劇場で既に見ていてもなお絶句モノだった。直前にメインキャラ達による不穏な会話シーンは正直美しさすら感じてしまう程に見事な陽動だったと思う。

 勿論ただお辛いだけでないのが本作の素晴らしい所で、前述のような絶望的状況に陥っても決して諦めることなく奇跡を起こす反復運動を繰り返してきたからこそ、味方は勿論敵も犠牲にすることなく全てを解決するというご都合主義に思えるラストも、そのラストに辿り着くにはどれほど大変な事かと理解できたので作品の歴史の積み重ねを感じられた。「登場人物たちが幸せを掴む」という多くの作品で当たり前に目指している事に、ここまで達成感が得られる作品もそうそう無いと思う。
 戦闘描写もめちゃくちゃカッコいいのがロボアニメとしても素晴らしい所で、作画でもCGでも影付けや処理効果によって作り上げられる画面映え度合はトップクラスのものだと思う。画面を見ているだけで気持ちよくなれるアニメだった。

・贄姫と獣の王
 1クール目の感想でも書いたが、2クール目も本当に見やすく整理されたストーリーと映像で凄かった。けして地味という話では無く、血統に支配された呪いから逃れるという話に一貫性を持たせるためにここまで表現を間違わずに作れるのか、という驚きがある。つい実況していてしょうもない所を気にしてしまう自分がこう思うのだから相当なものだと分かってもらいたい。

 最終話、セトが王族の血を引いていないという事実が明らかになった所で、それ以上はその話を深掘りし無いようにラントが止めたのがめちゃくちゃ良かったなあ。

・Helck
 音響監督を高松信司さんが務めている事もあり、ギャグの間がとても良いし、小松未可子さん井澤詩織さんを筆頭に演技もめちゃくちゃ面白いものが引き出されていてナイスな仕事っぷりだ。12話の「おい!俺の見えない攻撃見た~?」「見た!見えなかった~!」というモブの掛け合いとかも絶妙で、モブの台詞なので聞いても聞かなくても良いが聞いたらちょっと笑顔になれるこの作品世界のモブらしい内容の会話だった。

 あとこのアニメの輪郭線への撮影処理が非常に丁度良い塩梅で、作画と背景との差別化を図る存在感がありながら引きでも太過ぎず悪目立ちしてない絶妙な処理だなあと思う。撮影会社はT2Studio。

・わたしの幸せな結婚
 奇跡の和風シンデレラストーリー、そこまで奇跡の和風シンデレラストーリーだったかな…?確かに成り上がりは成り上がりなんだけど、嫁いでからも苦労の連続で、旦那様と一緒に戦った末に幸せを勝ち取った印象が強いのでかなりの武闘派っぽい。

 撮影処理、特にOPの光の入り方はめちゃくちゃ綺麗だった。これも撮影会社T2Studioだ。

BanG Dream! It's MyGO!!!!!
 スタートから一挙3話放送で見るのに体力使うなーと心配していたが最初からずっと面白くてスルスル見れたし、その後はわざわざAbemaの最速放送での視聴を選ぶぐらいには心待ちにする作品だった。30分後にMXで放送するタイムテーブルながら、それでも最速Abema視聴する人が多く居て、自分のTLにおける話題度では今期イチだったのでは無かろうか。バンドリシリーズに限らず綾奈ゆにこさんのシリーズ構成作品はどれも面白いが、本人自ら「女女の関係性を描いた作品」とわざわざ強めのワードを使ってまで宣伝してでも見てもらいたいという意気込みに相応しい気合の入った内容だったと思う。

 ケンカ腰の立希、表面上は優しくしてるけど別の思惑があるそよ、善意でコミュニケーションも取れるけど自分優先の愛音、コミュニケーションがうまく取れない燈、そもそもコミュニケーションを取る気が無い楽奈、と難有り人間にしてもグラデーションのある5人が決定的にバラバラになる7、8話でデスゲーム観覧者のような満面の笑顔になりつつ、再び集まって想いが一つになって演奏する9話でボロボロ泣いてしまうあまりにも見事な話運びで最高。ライブハウスでの演奏ながら全員がお互いの方を向き合っての演奏でCGを活かしたグルグルと回るカメラワークも映えて、シナリオだけでなく映像面でも強かった。自分はPoppin’Partyの「CiRCLING」がバンドリ楽曲の中で一番好きだが、それもテーマとして採用されているとも思える輪になった演奏シーンだったのも良かった。
 最終話でそのまま次作のAve Mujica編へと繋ぐための引きとして、祥子の家庭環境真実が明らかになったが、祥子がCRYCHIC解散を告げたのもそんな悲しい事情があったのね…とはならずに、そりゃ腐るのも分かるけどそれはそうと他人に当たるんじゃないという気持ちは変わらない塩梅だったのもこのスタッフならそのつもりでコントロールしての事かなと思う。
 ここまで人間関係のチグハグぶりの面白さに触れてきたが、そんなキャラばかりの中でも色んなグループと上手くやっていけるしMyGOのピンチにも一番良い結果を理解して助言出来るし祥子の独断AveMujica世界観にもちゃんと付き合ってあげる海鈴さんが聖人に思えて結局一番好きな…となってる。見た目も一番好きだ。

・呪術廻戦(2期1クール目)
 王様ランキングやチェンソーマン、そして呪術1期でも名エピソードを作った御所園監督が自らコンテを切っている回は流石。作画的な見どころ以上に、御所園監督コンテ回の第33話「渋谷事変 開門」にて、地下鉄ホームに閉じ込められた大量のモブを描く必要がある中でどうしても止め絵を多用しないと作るのが大変になってしまうが、画面が退屈にならないよう諦めることなく視線が良く一部のものだけ動かしたり、スローモーションになるようなカット割りだったりと飽きないコンテになっていて演出的見どころが豊富で良かった。

・スパイ教室 2nd season
 1期に比べてエピソードの種類があるしバカらしさも増していて面白かった。特に19話「File 《忘我》のアネット」は基本ギャグで回しながらも一転シリアスにアネットの恐ろしさを見せて、最後はやっぱりトンデモギャグで落とすお手本のような単発エピソードでスマートだった。

 灯メンバーとの生活はクラウスにとってもスパイ教室だったのだというティア編ラストのタイトル回収は、前述のスマートさとは打って変わってあまりにもパワータイプのまとめ方で笑ってしまったが、まあそれもまたこの作品らしさか。

・アンデッドガール・マーダーファルス
 かぐや様で圧倒的センスを披露していた畠山監督作で、しかも主役キャストの一人が八代拓さんだ~~!!!というあまりにも嬉しい組み合わせ。監督の落語心中での経験が活きる真打津軽の軽妙な小噺を、今全盛期が来てると言っても過言でない八代さんの演技で聴けるのは非常に贅沢だった。

 ただ終盤に行くほど話が長くなっていった事で軽妙さの成分が薄れて行ったかなと残念に思う。勿論普段の会話の面白さはあるが、1本オチてこそのファルスだと思うので、もっと短編エピソードとかあるとなお嬉しかった。まあこれは恐らく原作なら小説1巻ずつで綺麗にまとまってるだろう分量をアニメでやった影響なのでしょうがないかなと思いつつ。

ポケットモンスター
 2クール目も素晴らしい…。1クール目の時点で世界の厳しさと優しさ両方を知って少年少女が成長していくのを実感できる台詞の1つ1つが感動的だったが、2クール目はこれまでの旅路を経た経験が積み上がってエピソード自体の強度が増していて毎度のようにボロボロと泣いてしまう。

 特に16話「クワッスとなら、できるよ」におけるエクスプローラーズに襲撃された時にだぼだぼの服の袖の中でこぶしを握って決意するドットとか、シンプルなデザインなのに立体的なレイアウトと影付けで恐ろしさがしっかり出ている敵のオーベムとか、普段から髪が整っている事を常に意識しているのに全員揃い踏みの時は風にあおられても一切髪を気にしないクワッスとか、それらを全てかっさらう大谷育江さんボイスのサンゴちゃん登場とか、18話「そらとぶピカチュウ、どこまでも高く!」における回想編の色使いの良さとか、キャプテンピカチュウが見ていた景色の正体をフリードが知る事になるシーンの作画と音楽の噛み合い方とか、21話「ひとりぼっちのミブリム」で、ミブリムが対人・対ポケモン不信になった原因の出来事を直接解決する話にせず普段のライジンボルテッカーズの会話で理解させるシナリオとか、ミブリムゲットで凄く丁寧にモンスターボールを持つリコとか、挙げればキリが無い程に素晴らしい所が多くて何本年間ベストエピソード級を生み出すんだ!?という感じだった。

 その中でも最も好きなシーンといったら、18話のフリードの過去で、仕事を辞めたフリードが飄々と語る気持ちをリコの母が的確な一言で突くシーンの台詞の上手さになる。

 世界は広くて、我々が全てを知り尽くしているなんて事はけして無いのを知っている…、というのが作品として一貫したテーマになっているし、新作が出るごとに知らないポケモンや新要素がいくらでも追加されるゲームのガタガタな所の補強にまで至っているのが良いですね。放送休止を挟む頻度は多いが、まだまだ続くのでこれから先もめちゃくちゃ楽しみだ…。

・七つの魔剣が支配する
 結構面白いなと思って見ているのだが同時に、このアニメ更にもっと超大作っぽくなりそうなんでないか?と頭をよぎる事が結構ある。差別意識が蔓延るハードな世界観に最大の敵意を向けているのが主人公のオリバーであるというダークヒーローモノの作風と、その復讐に囚われた心から救ってくれそうな仲間たちのキャラの良さ、そしてそのスケールの大きさに見合うOPやガルダ戦のCG背景回り込みと作画を違和感なく成立させる映像レベルの高さがあるなら、もっとドンと跳ねそうかなと思ったのだけど、復讐モノと分かった後もそれは置いといて仲間たちの掘り下げに進んだので、また少し足踏みした感じで勿体無かった。

・AIの遺電子
 独特な世界観で人間・ヒューマノイド・それ以外のAIとバリエーションのある悩みを基本良い話ベースのオチで解決させていて見やすく楽しめた。リサさんの一挙手一投足に全て可愛かったし。

 原作で別々のエピソードと思われる2話をアニメの1話で同じテーマとしてまとめている事にしても、ヒューマノイドが誕生するきっかけとなった母親の話を1話冒頭で持ってきているっぽい事にしても、原作が完結しているからこそできる構成の良さがあったと思う。SF・哲学的に何か新しいことをしたかは自分はよく分からないが、シンプルに1本の縦軸がある話として良く出来ている作品だと思うので、完結までアニメにして欲しい。

・デキる猫は今日も憂鬱
 もう1本の今期GoHands制作アニメでこちらもめちゃくちゃ出来が良かったし、メインと言えるスタッフのほぼ全員が同じだったので驚異的な程に整った制作体制だったので二重に凄かった。ギャグシーンのデフォルメが凄く上手くて、好きめがと同じく非常に線の多いキャラの描き込みやテカりすぎにも思える背景で情報量の多い画面がベースにあるのに、緩く楽しいアニメに仕立て上がっていた。

カードファイト!! ヴァンガード will+Dress Season3
 通算5期、will+Dressとしては3期目。2期の催眠洗脳寝取りとしか言えない展開が、実際に謎パワーで思考を操られている訳では無く、あくまで思想の影響を受けただけという区別がちゃんと意識された話になっていたと思う。だからこそ人間同士ならファイトの最中に意見のぶつかり合いを経て説得も出来るし、ラスボスのAI・ギィ戦では結局カードファイトの勝敗を求めているだけだろう?というAI側からの問いかけに別の楽しさがあるからこそと過程に意味を見出す方向に舵を取ることが出来ていた。これまでもカードショップでパックを購入・そのパックを開封する描写を何度もしてきた事とか、陣営ごとのカードスリーブの違いを設定していた事をしっかり拾っている感じで良い。

 内容的にwill+Dressシリーズは完結?という事になるのだろうか。新シリーズになると、will+Dressからのメインキャラである羽根山ウララさんの出番が減らないか心配している。

・シャドウバースF
 シェケナーレEDを!見ろ!!!

 主人公を置き去りにして贔屓の可愛いヒロインズだけが出てくるという、ある種キッズアニメの伝統ながら無法めいているEDを、この時代になっても作っているやりたい放題具合ながら、映像自体のクオリティの高さに何も文句が言えなくなってしまう素晴らしい内容。他の女の子キャラより垂れ目なために瞳が小さくなる点や唇が強調されている点などデザインにクセがあるツバサ先輩のデザインを完璧に可愛く表現していて良い…。

 まあただ自分は本編の中で大半を占める肝心のシャドバプレイシーンに全然面白さを見いだせていないので、あまりよろしくない楽しみ方をしていて気が引けるのだが。

・MIX
 原作の一番大事な、投馬の父死亡となる部分をアニメ化。自分があだち充先生の漫画の大ファンなだけに、原作が非常にあっさりとしながらも異様な事が起きている空気を作り出す上手さ通りにはちょっとなっていないかなあと厳しめに見てしまった。原作からして真面目な話をしている時もしょちゅう小ボケを挟んでテンポを作る作品なのだが、アニメではそのたびにBGMもギャグ調とシリアス調を行ったり来たり反復横跳びしていたのが慌ただしくなっていたように思う。

BLEACH 千年血戦篇(2期)
 2期も最高のアニメ化だった。原作ファンも見た事無かった平子の卍解や、存在自体していなかった千手丸の卍解がお披露目になるのは勿論の事、OPの現パロ?シチュエーションにおける衣装を久保帯人先生自らデザインしているのも、最終話で死神図鑑ゴールデンが復活するのも良すぎる…。相変わらず日番谷君を筆頭に味方側に何をしとるんだねと思うような情けないキャラが続々飛び出してくる所は変えようが無いが、それ以外の所でサプライズを組み込んで盛り立てようとしてくれている。その盛り立て方を見るにスタッフが原作の事も旧アニメの事も好きなのが嬉しいね。

TIGER & BUNNY(2期第2クール)
 2クール目もめちゃくちゃ良かった、というかこれ2011年に放送していた1期超えてるんじゃない?とすら思う。これまで放置状態にあったルナティックも母親の死亡という大きな出来事がきっかけで話に絡んでくるし、虎徹とバニーの陰に隠れないぐらい他のバディ達にもそれぞれ二人の間の問題解決が用意されているし、虎徹の能力消失は最後まで消えたままにするし、虎徹のスーツを着たバニーがラスボスのオードゥンを倒すのもヒーローモノのお約束としてめちゃくちゃ熱いし、と面白い展開だらけだった。勿論虎徹の能力や最終回で崖落ちしたルナティックは続編をやるならいくらでも復活させられる余地を残しているが、それでも1期とその後の映画からここまで間を空けて作った続編として最後までやり切る意志が感じられた。見事でした。

・ワンピース
 ついに、作中でも最強の形態と思われるニカルフィがテレビでも披露され、カイドウを倒す所までアニメ化。ニカの能力が周囲に干渉し「漫画のような」現象を起こすという設定なだけに、アニメの中で別の作品のルールを取り込む必要があるのはかなり大変だと思うが、今のワンピースの制作体制なら何の問題もなくキレキレの作画・色使い・撮影で表現されていて非常にカッコいい。

 とはいえどうしても原作に追いつかないようにちょっとずつアニメ化しなければならない制約は残ったままなので、同ポの活用や音楽の使い方等でリズムを作っていたがそれでも間延び感があって、ニカが自由の象徴のような存在なのに不自由さを感じるのは勿体なかった。…と残念がっていた所、その数週後の1075話・ワノ国の人間たちがカイドウを倒してくれとルフィに願う回は、原作の台詞にオリジナルの継ぎ足しをしてテンポに全く間延びを感じさせる事なく、ワノ国の住人に起きた悲劇の辛さや打倒カイドウの宿願ぶりを原作からより強調させる形で映像化していてめちゃくちゃ良かった。スタッフ側も、普段原作をちょっとずつ消化しないといけないのはしょうがないとして、エピソードのラストとなる決め回は盛り上げようという想いがあっての事なのだろう。コンテ・演出:小山保徳さん。

 また、ニカ回以降(厳密にはニカ初登場回の次)からお披露目となった新OPも素晴らしい。

 作中のルフィの台詞である最高到達点とこれまでの軌跡を重ねる過去の本編映像を使用する親和性、その過去映像を破って飛び出てくるニカルフィの自由さ、ONE PIECEの「O」をかたどったワノ国のアレコレを採用する上手さ等々すごく好きだ…。FILM REDの興行収入に応えるように猶の事アニメワンピースが原作の持つパワーをしっかりと表現しようとしてくれているのが嬉しい。

・青のオーケストラ
 いや~~~~美しいアニメだった…。1クール目から良かった点が更に良くなっていて全員での定期演奏会で綺麗に締め括り、となったのでなんかもう今更言う事が無いぐらいなのだが、演奏ホールのステージは非常に強い光の下にあって、この作品の特徴的なハイライトや影の面積の多さから来る髪のツヤ感はこれを印象的にするためだったと言わんばかりな演出に非常にグッと来た。

 最終話の各部員の回想において皆どの時間・どの場所にあっても強く光が差している光景を思い返していて、全員別々の思い出ながら、定期演奏会で表現したいイメージは一致しているのを表していたように思う。シンプルでは無く象徴やモチーフを採用しながらちゃんと意味を感じ取りやすいコンテなのが素晴らしい(自分の受け取った感想が正しいかどうかはさておき)。非常に整理されてスッキリとしていた今千秋監督の贄姫、手数の多いトリッキーさを披露する畠山監督のアンファル、そしてやくもメインスタッフだった手びねり組が中心となって活躍している青オケ、とスタイルが違いながらもそれぞれの方法で魅せる構成・コンテが見れたのが今期はかなり嬉しいクールだった。
 2期もめちゃくちゃめちゃくちゃ楽しみに心待ちにしています。皆も今のうちに追いつこう。

・英雄教室
 ブレイド君のバックボーンについて、説明はあっても深くは語られないままでなんだか不思議な空気で駆け抜けていったなという印象なんだが、その分大人数のキャラをのびのび捌いていて良かったなと思う。EDのサビでキャラは止めのまま奥の3Dの食器がグルグル回ってる映像も、なんだかよく分からないが曲の良さも相まって見ていられるどころか毎週心待ちにしていた瞬間だったように思う。川村幸祐さんのキャラデザの素晴らしさよ…。

・ダークギャザリング(1クール目)
 ホラー版ポケモン。かなり強めのホラー・残虐的表現をやっても萌えやコミカルさを両立させる博史池畠監督の手腕が輝きまくっている。空亡を倒すために神様霊を捕まえると宣戦布告、そのために危険な霊を集める必要が出てくる、とステップが提示されたのがめちゃくちゃ分かりやすくなって1クール目中盤から更に面白くなった。既に捕まえている卒業生たちも当然従順なワケが無く、使役しようとすると暴れる緊張感があるのも良い。連続2クールあるのも嬉しい。

 どうでもいいことながら、ホラースポットとなると近場に幾らでもある訳では無く自ら赴く必要がある訳で、螢多朗・詠子を大学生にして車を運転できるように設定したのがかなり上手かったと思う。

・映画かいけつゾロリ ラララ♪スターたんじょう
 今期アニメという事では無く2022年に映画公開されたものをEテレで放送したのを見たのだが、ちょっとビビるぐらい名作で凄かったな…。
 ゾロリがヒポポをスターに仕立て上げようとするのも金儲けが原動力にあるとか、大声を出させるために妖怪たちが驚かしてトレーニングするとか、品行方正さとは真逆にある要素が引っ込み思案なヒポポを立ち上がらせるし、物語の起伏にもなっているのが人情モノとして100点満点の組み立て方で見やすく面白かった。終盤のギターを運ぶために全員が協力する所で一番派手に動くアクションを入れるのも、ちゃんと演出が物語に組み込まれていて良い。ヒポポ役のゲスト声優:生田絵梨花さんも演技・歌声共に素晴らしくて全てにおいて高水準なアニメだった。