2304-06月期アニメの感想-2

 Part1からの続き。

gecko-bushido.hatenablog.com

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・女神のカフェテラス
 手塚プロ桑原監督アニメ×マガジンのハーレムラブコメ×しかも作者は瀬尾先生、という非常に高カロリーなジャンクフードのような作品。その中でも当然ながら瀬尾先生の味が強く、成敗されるために出てきたとしか思えない存在のヴィランである不破が無茶苦茶な事を言ってくるのであまりにも面白かった。最終的に近所の皆さんもこれ以上店に迷惑かけるなら黙ってないわよ!と圧を掛けてくれたが、お婆さんの代の時からその表明をしてくれていても良かったんじゃないですかね。
 五等分の花嫁の時も思った、というかこの作品が五等分の花嫁メソッドの丸パクリでしか無いとは思うのだが、ヒロインが優先順に出てくるのでは無くてせーので全員出てくる事で一度主人公とヒロインたちの関係が同時に構築されてから、最初に誰かが抜け出してまた関係性が変化していくのを見るのは二度三度おいしさがある。その中でもこの作品は最初にデレるとは思ってなかった紅葉(あかね)さんが抜け出したという事に意外性もあって良かった。なんだかんだで2期がある事をかなり楽しみにしてしまっている…。

・天国大魔境
 今期一番クオリティが高かった作品というとまあ間違いなくこの作品だろう。作画の良さ、美術の丁寧さ、撮影による臨場感の出し方がいずれも超ハイレベルで、その上マルキルコパートと天国パートを行ったり来たりするのにアニメ1話1話ごとにちゃんと区切りを感じられる構成の上手さすらある。特に10話の五十嵐海さんコンテ演出回は何もかも凄かったが、そんな事は色んな所で散々言われてるだろうから、女装マル君の可愛さすらも今期環境トップクラスに入り込む凄さがあったという話ぐらいにしておく。

 一体天国パートで語られる事はなんなのか、という作品を引っ張っていた大きな謎がまだ具体的には分からないままなのはちょっと勿体無いが、脳移植をされたキルコの自己認識の話をしてそっちだけでも区切りをつけようとしたのは偉い。過去?にあたる天国パートにて恐らくマルが取り違えられた所が描写されているだけに、自分が何者なのかという話は今後そこも影響してくるのだろう。このクオリティと原作の進み具合だと2期は早くても3年後ぐらいだと思うが、まあ流石にやるだろうし楽しみだ。

異世界ワンターンキル姉さん
 異世界召喚されたのに自分にはこれといった恩恵が何も無くて追いかけてきた姉だけが強いのにその姉のせいで自分の評価が上がっていく、という状況でも主人公の朝陽君が増長する事も腐る事もなく真面目に強くなろうと努力し続けていた事に好感が持てたな。その朝陽を評価してる真夜姉も見る目がある、と思える。
 特に10話が良くて、もしかして朝陽君の事を尊重して弟離れするようになったかと思うぐらいブラコンの真夜姉が妙に朝陽君に対する独占欲をあまり示さず、同時に朝陽のやる事も小さい事ながら結構上手く行っていて二人の成長を感じる…となった所で朝陽君の石化とそれを解除するための姉たちが奇行に走るというしっかりいつものパターンに落とす構成で、1話で非常に綺麗にまとまっていた。キャストの中で特にグローリア役の徳井さんが良くて、感想を後述する転生賢者のティフアーナと同じくちょっとお姉さん寄りの属性がある役がもっと増えて欲しいと思った。

・22/7 計算中
 今や土曜MX・BS11で放送しているアニプレックス資本タイムにおいて、CloverWorksが制作でも放送を落とすアニメが増えてきた中で、ずっと前から土曜23時のこの枠を守り続けている長寿番組となった計算中(一部関連作品を放送していた時もある)。ただこの番組は自分の中でもアニメではなくバラエティという認識なのだが、まーでも今期の立川絢香卒業回はずっと番組を続けてきたキャストとスタッフが作り上げた一種の到達点のような素晴らしい内容でボロボロ泣いたので振り返っておきたいじゃん!の気持ちが勝った。
 元々以前のシーズンからナナニジメンバーのノリの軽さに親和性のあるアニメキャラのガワ、三四郎の小さな所にも細かくメスを入れる拾い方、編集のテンポの良さがマッチしていて面白い番組だった。今これを書いてる時に思ったのだが、異様な編集テンポの良さは、実写バラエティと違って切り取りたい所でアイドルが演出の望む通りの言動や表情をしてなくても後からガワでそれを被せて見せたいものを見せられるというのがあるのかもしれない。それに加えて最近は新メンバーが増えて以降特に顕著なのだが、モデリングの良さや表情づけの多彩さなど絵的な面でも向上が見られて、豪華なキャラクターデザイナーを何人も起用している甲斐も出ていた。自分が特に好きなのは瀬良穂乃花さんの表情付け。

 天城サリーさんのように他のアニメでも声優として良い働きをする人がメンバーから出てきたりしており、番組自体が凄く好調で上り調子になっているのを感じるという前提がある中での立川絢香卒業のための3週に渡っての特番構成。最終週では新メンバー加入前の元々居たメンバーでロケの締めに「シャンプーの匂いがした」を、更に最後にスタジオにて新曲の「僕は今夜、出て行く」を全員で3Dモデルで踊るというこれまで見られなかった労力の掛けっぷりで素晴らしかった。新曲で元からのメンバーが集まる所の振り付けのなんと素晴らしい光景か…。

 しょうがない事ながらこれまでも卒業していったメンバーや残念ながらクビを切る扱いにしか出来なかったメンバーもいた中で、ここまで大々的に卒業を祝して番組の企画を立て、発売する新曲は卒業する立川絢香をイメージした歌になっている事には、物凄い関係性の良好化を感じてしまう。残酷な事だが、箱推しというか「この番組」を好きで見ているような自分にとってはこれまでの上手く行かなかったメンバーの進退すら加点ポイントとなる美しい物語の流れに思えてしまった。
 まあ、こんな綺麗な形でメンバーを送り出したからには当面他メンバーの卒業や休業は無い…かというと全然そんな事無いのが現実なのだが、それでもとりあえずまだまだこの番組を見続けていたい。

鬼滅の刃 刀鍛冶の里編
 1話の上弦の鬼集合シーンのあまりにも無駄な尺の使い方で相変わらずだなあ…と思ったのだが、無一郎の容赦なく辛い過去や炭治郎が上弦の肆に勝利するシーンでの覚悟の決まりぶりはしっかり良かった。原作がそういう所しっかりしてるから面白いだけではと思いつつも、決める所はちゃんと決められるアニメスタッフだからここまで人気が出たのだろうという気持ちも一応ある。
 なのでここから山場しかない終盤に入っていくのは楽しみだなあ~と思うんだが、次のシリーズの名前が柱稽古編という原作1巻分ぐらいのシリーズの話なのでまた引き延ばしまくりになりそうだなという気持ちもやっぱりある。

TIGER & BUNNY(2期第1クール)
 物凄く久々の続編だからというよりも、テレビシリーズ1期の後半と映画でどんどん盛り下がってしまった印象だったので2期に結構不安があったのだが、めちゃくちゃ面白かった。バディモノで2人1セット1話ずつの話にした事でスピード感のある話運びになっており、喧嘩したまますれ違いを引っ張るフェーズが無くすぐ相手の真意を聞こうと動くのがじれったく無くて良かった。悩み自体を謎解きの答えのようにしてない感じだ。その悩みに対して張本人と周りがそれぞれどう思うか、相手への気遣いとか自分が弱みを見せる恥ずかしさのような繊細さを見せている時の台詞が脚本・西田征史さんの元々のストロングポイントなのかなと思っていて、それがバシバシ出てくる構成の勝利であった。
 戦闘になると描写がやたら段取りめいて来て、「えっそれが倒すきっかけになる前振りだったの」っていう所と「えっ意味深にしてた所は別に重要じゃない戦闘の流れの1つだったんだ」という所が混同してくるのは1期と変わらない気がしてしまった。それだけに3話も掛けていたフガンとムガンの戦闘は盛り上がりに欠けていたが、最後におじさんとバーナビーが点滴で乾杯したのは、これまで街を守るために時間が取れなかった二人のヒーローがようやくひと時の平和を掴めた象徴として凄く良かったのでまあ良いかとなった。

・山田くんとLv999の恋をする
 今期アニメ演出力ぶっちぎりNo.1アニメ。ちはやふるスタッフの新作だったので元から期待していたが凄いものを見た気分だ。↑にて放課後インソムニア1話について「ずっと連続する時間を映してるよう」という評を書いたが、こっちは真逆でとにかくジャンプカット、場面転換、カットイン、実景と重ねる少女漫画的な顔の透過等々の手段の多芸ぶりで時間を盗みまくってリズムを生み出していた。時間と空間の移動は早いが大事な心情の所はゆっくりやる見事なコントロール力。演出の手数の豊富さは畠山守監督のかぐや様に近いものを感じる。特に印象的なのは茜のバイト先で山田と話している時に二人のシルエットはコンビニのガラスに映っているカットだ。茜と山田の描写だけでも印象的で飽きさせないようにする工夫があるのだが、ついでにさっき送り出したバイトのおばちゃんが店内の物陰から覗き込んでいて、情報量の多さと見やすさを兼ね備えた凄いカットだった。

 書き文字演出も多用されていたが、ガラスにも映り込んでちゃんと反転しているといった細かさも好きだ。

 こんなに演出が上手い人らが作るアニメなんだからそりゃ盛り上げるのも上手いと言う事で、ずっと面白かったが最終回は特に見事だった。演出が良いというのは画面そのものをどう盛るかという話ではなく、いかに的確かつ魅力的なキャラの感情とか言動を引き出す正解を選ぶ力を持っているかというのを感じる。はぁ…とかうす…しか言ってこなかった山田が茜に私の事好きなの?って聞かれて「バレたか」といたずらっぽく言うシーンで黄色い声上げない人間はこの世におらんよ…。

・僕の心のヤバイやつ
 原作の1話1話が短い分、ブームになるまでジワジワと長い期間かけて盛り上がっていった印象だったので、1クールの3か月間で結構節目の所まで進むんだなと思った。とはいえアニメは1話ごとの区切りが綺麗でしっかりアニメ向けに構成されていたので面白かった。原作だと時間が掛かった分、山田が市川の事を途中から好きになった印象だったが、アニメだとボーイミーツガールモノとして割と最初から山田の方も意識していたんだなと思った。まあこれは単に自分の認識のずれの問題かもしれないが。
 このアニメの成功の要因として、市川役の堀江君の存在が非常に大きかったように思う。山田の羊宮さん以上に市川の堀江君が凄く良かった。これまで高い声だけどぶっきらぼうなキャラの演技が多かったのだが、神クズアイドルの吉野君に続いて可愛さの比率の方が高いキャラなのがハマっていた。

・おとなりに銀河
 感想を書いてて出てくる言葉が面白かったという内容一辺倒なのが気になってしまうぐらい、土曜は作品自体多いのにどれも面白くて幸せだったなあと感じる。おとなりに銀河もとても良かった。大きな人間関係の変化があっても、当人たちは色々尊重し合ってゆっくり丁寧に歩み寄っていくのが凄く温かい気持ちになれるねえ。
 久我一郎君については性格が勿論良い事や、ここ最近ノリにノっている八代拓さんが主役をゲットしたという意味でも良かったし、五色さんもおしとやかなお姫様らしさとギャップのピュアな欲望がある感じが好きだったんだけど、なんといっても久我まちさんが卑怯すぎるキャラだったね…。ずっとアパートの内部の人間関係だけを描いてきた間は、非常に家族想いで無邪気さも兼ね備えているかわいらしさでそれだけで十分に今期の素敵なキャラとして上位に来る存在感だったのだが、最終話で同年代の友達との関係にスポットライトを当てた途端に、遠慮し過ぎる性格が露わになって一郎君と同じ道を辿っていた訳だが、家庭環境を考えると凄い納得感があった。幸せになってくれ…。

異世界召喚は二度目です
 ものすごく脚本・構成が良かった。主人公の雪は確かに異世界召喚者としてテンプレの最強扱いの能力を備えているが、具体的にどういった能力かには重点を置かず、ひたすら二度目の再会、リベンジに意味を見出す話というだけでもかなり珍しくて興味深いし、それが各話1話ごとに綺麗にまとまっていたのも良かった。特に3話、イカを揚げるのは二度目ですというギャグっぽいサブタイトルなのに、リヴァイアが雪と出会った事で次第に価値観が変わり種族を超えた絆が生じたのを思い返してるという所に着地するのは良すぎた。そんな構成・脚本を手掛けたのが本業はライターや小説家の雪仁さんという方でテレビアニメのシリーズ構成も脚本も初めてという事なのがより一層驚く。

・遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!(2年目第1クール)
 今期も面白い!!なんとしても第62話「再会」の事には触れておかないとという気持ちになった。その2話前、前作主人公なのにずっと「アイツ」としか呼ばれていなかった王道遊我の名前を周りが知ることになるのか、と予測させる前振りからまさかの謎の猫化で、本当にどういう方向に話が進むんだと思っていたら遊戯王セブンスの時代に飛ぶ事になる…、まずその時点で視聴者の振り回し方が上手すぎる。
 セブンスを見た人間からすると遊我がそこに帰ってくるという事は当然「最終回のあの後」の真実を期待するが、そっちではなくあの時遊我とルークは出会っていたという話を通じてその1話のみで遊我に関するこれまでのいきさつやこれからの進路を全部示したのが凄い。遊我がゴーラッシュ時代に飛ばされた後にてんとう虫嫌いなのもあって巻き込まれるしかなかった事や、その結果セブンスを見てても存在がよく分からなかったオーティスの名前の由来が分かる事や、デュエルの変遷の歴史が語られる事や、今まで遊我の事を知らないゴーラッシュキャラが名無しのごんべ的に「アイツ」と呼んでいたギャグが遊我を知るルークが語る「アイツ」へと意味が変わる事や、未来の事は分からないならきっと希望はあると締める事などなど、ここまで意味を載せていながらスッキリとしていて凄い。

 特にデュエルの変遷の歴史の話で、デュエルはその長い歴史で子供の手を離れて複雑なものになり過ぎたというのは、作品どころか遊戯王のコンテンツ自体を自己批判するあまりにも強烈な言葉であり、スマホ版のマスターデュエルがモバイルカードゲームで世界1位の売り上げを達成しているのにそこまで踏み込めるんだという事に感動してしまった。実際に複雑になり過ぎたデュエルというのは遊戯王VRAINS時代の話の構成にも直面していた問題で、それがあって遊戯王セブンス、ゴーラッシュの比較的簡素なデュエルにも繋がっていると思われるだけに、この話をやろうと思えるのはカッコいい。このコンテンツ自体の悩みと前作主人公遊我の悩みをリンクさせ、それに対する未来が何が待っているか分からないんだから希望もあるという答えの補強に、シュレディンガーの猫や、セブンス時代の地底人や古代人など元から登場していた多様でヘンテコな奴らをリンクさせる…というのが良すぎる。
 スタッフ的に何の関係も無いが、放課後のプレアデスでも平行宇宙を取り扱ったSFをやっていて、あれも平行宇宙=色んな希望のある可能性の話にしていたのが良かったなあというのを思い出していた。

機動戦士ガンダム 水星の魔女(2期)
 まあ、1期より更に大変なスケジュール・更に大変な人数で作っているのに映像が破綻していない(大きな流れや展開の回収の話では無く、1カット1カット単位で見た時にこのカットの動きは何をしてるものなのか分からないというのが無い、という意味)のは本当に制作の人たちのとてつもない努力があったからなのだろうな…というのは感じた。誇張抜きで、スケジュールに対する映像の出来映えの比率の大きさがアニメ史上一番大きいモノだったんじゃないだろうか。そんなもん正確に作品間で比較する術は無いんだけど。

・青のオーケストラ(第1クール)
 相変わらずNHK系アニメが好きすぎて途中からは水星よりもこちらのリアタイ派になってしまったぐらいに面白い。来期も引き続き楽しみだけど7月期の日5枠は川越一生監督のアニメなのでかなり悩む…。
 有名バイオリン奏者の父が不倫というスキャンダルをやらかしたせいでふさぎ込んでしまった青野君が、海幕高校オーケストラ部のメンバーと切磋琢磨する事で心を開いていくのだが、どうも素の青野君は結構他人をからかったりする所があるのが年相応感あって良いよね…。

 気の弱さでなんとなく虐められ出してしまった小桜ハルさんと、それに抗おうとした事が空回りになってしまう秋音律子さんという対象的な二人がお互いの支えになっていたと伝え合う第8話「G線上のアリア」は凄く繊細な話を綺麗にまとめ上げていてとても良かった。コンテがやくならマグカップもの神谷純監督だった事もあり、アイデアフルでありながらストレートに内容が伝わりやすい表現なのもとても素晴らしい。

 更にこのアニメの良い所として、演奏シーンを盛り上げる音響の上手さもあると思う。演奏自体をキャラごとに実際の奏者を分けているのも勿論凄いことなのだが、残念ながらその差までは聞き分けられない中にあっても、演奏中に盛り上がる所に入ると演奏の音量も綺麗に強弱がついており、感情をリンクさせやすい。
 良い所で音が大きくなるからテンション上がった!という感想しか書けないのがなんとも情けない話なのだが、単純な事でもそのタイミングと音量があまりにも適切で心地よいので是非皆さんにも意識して聞いてみて欲しい。おそらく録音・小島信人さんの力なのでは無いかと考えている。アイドルタイムプリパラ50話、Memorialのダンスに順番にキャラが参戦する中で、しゅうかが参戦する際の音量の上げ方が神懸かっていた腕前が本作でも発揮されている。

・六道の悪女たち
 チャンピオンの名作が次々にアニメ化・実写化されており、こちらもその一つ。原作を全巻持ってるので完結した後であってもアニメ化されたのは嬉しい。まあ画面はそこまでリッチでは無かったかもだけど、原作の良い所がちゃんと出てたように思う。六道君たちがピンチになるもその話数の内に大ゴマで勢いよく突破口を見出す、という原作漫画が1話の内に片付けるというアニメでやるには速すぎる展開をやっても違和感無かった。敵が強大になっていっても課長や大佐のように不良でない側の六道君の友達も根性見せる展開がベタながらしっかり熱いので後半になる程面白いのだが、アニメで続きやってくれないかな。

・マイホームヒーロー
 名作アニメ「風が強く吹いている」に続いて、喜安浩平さん2作目のシリーズ構成・脚本アニメでこちらも上手かった。半グレからの追及を避けるために時には綿密に計画した作戦で乗り切り、時には大胆で絵柄がシュールになる行動力で乗り切りと緊張感が続くにしてもパターンがあって面白かった。最後がホラー?オチみたいになったが、家族を守るためという大義名分を掲げていようと2人も殺したのだからハッピーエンドの空気を残したまま終わらせるわけにはいかないという考えあっての事だろうし、しっかりしてるなと思った。1話を見た後にWikipediaのページに飛んだらこの後の展開が書かれていたのをうっかり見てしまったが、今回のアニメの範囲より猶の事面白そうだったのでこれもアニメで続きが見たい。
 どうでも良いけど、半グレサイドがずっと「鳥栖哲雄」ってフルネームで呼ぶのが面白さを上乗せしていた気がする。まあ確かに相手が家族で全員鳥栖だし気さくに哲雄と名前だけ呼んだりオッサンと呼ぶのもおかしいか…。苗字が4文字とかだったらアニメにした時めちゃくちゃテンポ感の邪魔だったろうし鳥栖って苗字にしたのはさり気ないファインプレーのように思える。

・転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒
 放送前からあの「シュート! Goal to the Future」の中村憲由監督による新作だ!とまあまあ期待をしていたらその期待を数段上回るとんでもない名作でビビった。中村監督コンテ・演出によるベタなギャグも超ハイテンションに受け取るリアクション、引きの絵でも容赦なく枚数を掛ける動き、1話の転生そのものの原因と転生後に姉たちを助ける動機の一貫性、EMTスクエアード作品で一番良さげなキャラデザインとルック・更に作画の維持力、そして何よりOPで欽ちゃん走りを採用するアイデア…。全部凄い。

 転生して超越者的な能力を身に着ける作品を数多く見てきている視聴者は今更驚きもしないのだが、この作品内においては驚天動地の大事件である、というのを大事にするリアクション幅とその天丼がめちゃくちゃしっかりハマっており、リアクションはギャグの基本である事を改めて実感させられた。どうせ驚くなら何回でも・新鮮に・大げさに・スカさずに驚くべきであるという事だ。去年、バラエティ番組の「賞金奪い合いネタバトル ソウドリ〜SOUDORI〜」でくりぃむしちゅーの有田さんが相方・上田さんの凄さは「相手がボケるのを分かっていても知らないふりして聞きながら待って、ボケた瞬間にすぐさまツッコむ事」と評価していたのが目から鱗でずっと頭から離れないのだが、正しくそういう事だと思う。(番組の本編では無くその感想が書かれた記事のリンクだが、参考↓)

 キャラデザも素晴らしくて、特にシルクさんは自分の中で今期アニメ一可愛いキャラだったなあと思っている。デザイン自体の素晴らしさがありつつ、それが中村監督の演出する大げさな動きをして様々なアングルや表情で描いても殆ど崩れる事が無いまま1クールやり切ったのでとても良い。引用(↓)のカイン君とシルクさんの攻防で、下に潜って躱した時の表情などはホントに一瞬しか映って無いのだがそれすらも絶妙で細部まで魂がこもっているアニメだった…。